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ボディースローパターンの表記と生成

 ボディースローと言って一般的に連想されるのは、おそらくバッククロスやアンダーザレッグ、近年ならビハインドザネックなどで、これらのパターンはほとんどの人が多少の心得はあるかと思います。しかし、もっと複雑なボディースローになると、普段の練習メニューにはなかなか入ってこないという人が多いと思います。ぼく自身も、基本的でないボディースローはめったに練習しません。
 しかし、スローおよびキャッチの能力を高めるためにはさまざまな投げ方を試みたほうがよいので、どのようなスタイルのジャグリングを行うにせよ、ときどき複雑なボディースローを練習しても損をすることはないと思います。
 さて、試みたことのないボディースローに挑戦しようとするとき、練習するパターンの決め方は、ほかの人のジャグリングを見てまねをする仕方と、自分自身でパターンを考える仕方の2通りが考えられます。人のパターンをまねしてももちろんいいですし、多くの人がやっているパターンにとりあえず手をつけてみるというのも戦略としてはまっとうなものです。ただ、自分自身でパターンを作れたほうが、ジャグリングの楽しみは増すはずです。今回は、ボディースローのパターンを作る方法の一例を紹介します。
 なお、この方法はJJF2010のゲストワークショップにて、ステファン・シングが「ボディースローを考えるときには体の周りに5つの空間があると想定するとよい」と言っていたのを聞き、それをヒントとして考案したものです。改良の余地はさまざまあると思いますので、いろいろ試してみてください。

●ボールの移動の表記

 表記・生成方法を考えるうえでまず必要なのは、ボディースローとはどのような投げ方なのかを理解することです。もちろんジャグラー間に共通の見解はないと思いますが、ここではボディースローを、「道具に体の背面を通過させること」と定義します。たとえばバッククロスではボールは背中の後ろを通りますし、アンダーザレッグなら脚の後ろを通るので、ボディースローとなります。しかしオーバーヘッドは、ボールがとくに体の背面を通るわけではないので、この定義のもとではボディースローとはなりません(個人的にも、オーバーヘッドは腕の向きが違うだけであって、ボディースローとは呼べないのではないかと考えています)。
 このように定義するとき、「ボールがどこから背面に下がり、どこから前面に出てくるか」を指定すれば、ボディースロー時のボールの動きをとりあえずは表記できます。体の前面/後面の出入り口としては、5か所を考えることができます。「頭と右腕のあいだ」、「右腕と右脚のあいだ」、「右脚と左脚のあいだ」、「左脚と左腕のあいだ」、「左腕と頭のあいだ」の5か所です。
 右手で投げるとして、たとえば「右腕と右脚のあいだ」からボールを背面に移し、「右脚と左脚のあいだ」から前面に戻すのであれば、それは一般的なアンダーザレッグの投げ方となりますし、「右腕と右脚のあいだ」から背面に移して「左腕と頭のあいだ」から前面に戻せばバッククロスの投げ方となります。
 さて、このままでは表記が面倒ですし、左右対称に考えたいので、それぞれの空間を以下のように表記することにしましょう。

A:スローする腕のあいだ
B:スローする腕それに近いほうの脚のあいだ
C:スローする腕に近いほうの脚もう一方の脚のあいだ
D:スローする腕と遠いほうの脚スローしないほうの腕のあいだ
E:スローしないほうの腕のあいだ

blog 20130812


このように略記したうえで、たとえばABなら「道具がAの位置から背面に移り、Bの位置から前面に戻る」ことを表すとします。すると、アンダーザレッグはBCと、バッククロスはBEと表記できます。ビハインドザネックならAEとなりますし、オーバーザショルダーならBAとなります。
 このように考えると、ボディースローを40種類に分類できることが分かります。まず、背面に移る場所が5通りあり、前面に戻る場所が4通りあるのですから、5×4で20通りとなります。さらに、投げたほうの手でキャッチするか、それとも反対の手でキャッチするかの2通りがありますから、20×2で計40通りとなるわけです。

●スローおよびキャッチのタイミング

 この表記法はボールの動きだけしか表していないので、スローおよびキャッチのタイミングによっては、同じ表記のスローでも見た目が全く異なったものになります。たとえばBCでも、普通のアンダーザレッグのようにボールを手にもったまま脚の裏を通してから投げる(①)ことができますし、通常のスローと同様に投げたうえでキャッチするほうの腕を脚の背面に回してそこでキャッチする(②)こともできます。あるいは、シャワーの1を脚の下に通すときのように、ボールがスロー中に体の背面を通る(③)こともありえます。
 ぼく自身は面倒なのでこれらはあまり区別しませんが、区別しようと思えば、適当な記号を使ってボールが背面を通るタイミングを表せばよいです。ボールが手から離れるタイミングを記号「'」で、ボールをキャッチするタイミングを記号「"」でそれぞれ示せば、たとえばBC'"なら上記①を、'BC"なら③を、'"BCなら②を表すことができます。具体的に順を追って説明すると、BC'"なら、投げる前の段階でボールに脚の後ろを通過させ(BC'")、そのうえでスローし(BC'")、キャッチする(BC'")ということです。バッククロスは'BE"、ビハインドザネックなら'AE"と表せるでしょう。この'や"といった記号も用いるなら、パターンは全部で40×3で120通りとなります。ただし、この中には人体の構造上不可能なものも含まれているので、実際に可能なものの数はこれほど多くはありません。

●ボディースローパターンの生成

 さて、このようにボディースローを表記することに決めれば、逆にランダムな文字の組み合わせからボディースローを作れることになります。適当にDAとかECといったように文字を並べて、その文字がどのようなボディースローになるかを考えてみるわけです。
 ただ、40通りくらいなら、1つずつすべてを試してみるのもいいかもしれません。ぼくもランダムに試すのはかえって面倒なので、一度40通りすべてを試みてみました。そのうえで、見栄えのよい動きやルーチンに組み込めそうな動きを探せばよいと思います。
 一通り試してみたら、今度は実際のジャグリングパターンにボディースローを組み込んでみましょう。このとき、ノーテーション(サイトスワップ)と組み合わせると表記が簡単です。数字の直後にその数字の投げ方を指定するよう文字を配するとして、たとえば3ボール3カウントのアンダーザレッグなら3BC33のように表せますし、3ボール1カウントのアンダーザレッグなら3BCとなります。3ボール1カウントのバッククロスなら3BEとなります。53の5はバッククロス、3はアンダーザレッグなら、5BE3BCとなります。
 531のそれぞれの数字をボディースローにすることを考えると、ボディースローを行わない場合も含めて各数字ごとに投げ方は21通り(5×4+1)ずつあるわけですから、531にボディースローを組み合わせる仕方は21×21×21=9261通りにもなります(うち1通りはボディースローを含んでいませんが)。333でも、21+21×20+21×20×19÷3=3101通りあります(これもうち1通りはボディースローを含んでいません)。これだけでも、毎日10通りずつこなすとしても、すべて試みるのに1年近くかかることになります。これらにスローおよびキャッチのタイミングによるヴァリエーションまで加えると、さらに膨大な数になります。

●背面を複数回通るボディースロー

 なお、ここまでは体の背面を一度しか通さないボディースローしか扱ってきませんでしたが、背面を複数回通すスローも、文字を4つ以上並べれば表記することができます。CDBCなら、右手で投げて左手でキャッチするとして、たとえば「右手を右から左へと左脚の下をくぐらせたうえでスローし、そのボールを、左手を左から右へと右脚の下をくぐらせたところでキャッチする」という動きを表していることになります。この投げ方の場合は、'および"を使ってより細かく表記すると、CD'"BCとなります。ほかにも(やや難しいですが)CD'BC"や(かなり難しいですが)'CDBC"も可能です。さすがに4文字になると物理的に困難あるいは不可能なものが多くなりますが、だからこそ挑戦してみる価値があるかもしれません。

 表記法の大まかな説明は以上です。文字だけではわかりづらいかもしれません。本当は動画を撮りたいのですが、いま手元にあるパソコンでは動画の編集を行うことができません。
 疑問点や、改良の提案などありましたらお知らせください。
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マルチプレックスパターンの表記と生成(3)

●パターンの分解と合成

 今回は、マルチプレックスを含むパターンを「ジャグリング可能な2つの数列を合成したもの」と捉え、この考えに基づいてパターンを生成する方法を紹介します。この方法を使うことができれば、試行錯誤によらずになかば自動的にマルチプレックスを含むパターンを作ることができます。
 まずは、このシリーズで何度もとりあげてきた[53]121から考えてみましょう。このパターンは、以下のように考えることができます。
  [53]121=5120+3001
つまり、[53]121は5120と3001を組み合わせたパターンと理解することができます。この5120と3001のいずれもジャグリング可能な数列であることを確認してください。
 このように、マルチプレックスを含む数列を「ジャグリング可能な2つの数列を合成したもの」と分析的に捉えるなら、反対に、「ジャグリング可能な2つの数列を合成することによってマルチプレックスを含むパターンを生成する」という総合的な考え方も可能になります。実際、このように理解すると、パターンを用意に作ることができます。

●合成できるパターンの条件

 それでは、その具体的な生成法を考えてみましょう。とりあえずは、マルチプレックスということにとらわれず、どのようなパターンであれば合成できるかを理解することが必要です。
 前回説明したように、マルチプレックスを含む数列が実現可能なものであるには、2を含んでいることが必要でした。2はボールを手中に保持しているだけなので、そこに他のボールが落下してきてもキャッチすることが可能なのでした。ですから、2を含むパターン、たとえば423や522は、合成の候補となります。
 同様に、0はボールを保持していないので、そこにボールが落ちてきても問題なくキャッチできます。すると、0を含むパターン、たとえば300や504なども合成の候補となります。
 このように、数列の合成は、2もしくは0を含む数列を2つ用意することによってなされます

●合成の方法

 たとえば、423と300を合成することを考えてみましょう。はじめに、この2つのパターンにおいて、ボールがそれぞれどのタイミングで落下するかを把握しておきます。まず423ですが、4は4拍後の2のところに、3は3拍後の3のところに落下します。2は次に4で投げられますが、保持したままなので考慮する必要がありません。したがって、このパターンでは2と3の拍でボールが落下してくることになるわけですが、これがわかるように、2と3に「'」をつけておきます。つまり、42'3'と書いておきます。同様に、300は、落下するボールとしては3だけを考えればよいので、その落下位置である3を3'として、3'00と書いておきます。42'3'は2拍目と3拍目、3'00は1拍目にボールが落下してくるので、これらのボールの落下位置が重ならないように重ねあわせます。この2つはこのまま合成することができます。すなわち、
  42'3'+3'00=[43']2'3'
というように、[43]23というパターンを生成することができます。
 もう一例、522と300を合成してみましょう。522の落下位置は522'、300の落下位置は3'00となりますので、
  522'+3'00=[53']22'
  522'+03'0=5[3'2]2'
というように、522と300からは2種類のパターンを生成できます。これらはまだ落下位置に余裕があるので、たとえばさらに2'01を組み合わせて、
  [53']22'+12'0=[53'1][22']2'
  5[3'2]2'+2'01=[52'][3'2][2'1]
といったパターンを生成することができます(もっとも、下のパターンはボールを両手に1つずつ余計にもったまま531をやっているだけですが)。

●網羅的な合成

 パターンの合成方法の説明は、以上です。実際にパターンを作るさいには、「これとこれを組み合わせると面白いのではないか」と直感的に合成するのも手ですが、あらかじめ2や0を含むパターンを網羅しておき、それらのすべての組み合わせを試していくほうがよいと思います。それほど手間のかかることではありません。
 今回は、周期3、ボール数1~3のパターンに限ってみましょう。この条件に当てはまる数列をすべて網羅しても、
  1ボール:300, 201
  2ボール:600, 501, 420, 330, 312
  3ボール:900, 801, 720, 630, 612, 603, 522, 504, 423
と16種類しかありません。ただ、さすがに16×16の表を書くこともできないので、ここでは、3ボールのパターンと300および420を合成したものの一覧を作っておきます。マルチプレックスにならないものも含まれていますが、すべて書くことにします。
300420
900930, 903[94]20, 942
801831[84]21
720[73]20, 723[72]24, 7[42]2
6306336[43]3
6126[31]2[64][21]2
603633[64]23
522[53]22, 5[32]2[54][22]2, [52]2[42]
504534[54]24
423[43]23[43][42]2

 以上で、マルチプレックスパターンの表記と生成シリーズは終わりです。パターンを生成するための小技など、もっと細かいこともいろいろあるのですが、とりあえずここまでで述べたことを理解し、利用していけば、マルチプレックスに限らず、ジャグリングのパターン一般に対する理解もおのずと進んでいくと思います。数列によるパターンの生成や表記は、できたからといってジャグリングがうまくなるというわけではありませんが、できれば練習の幅が広がり、ジャグリングの楽しみが増すと思います。覚えておいて損はありませんので、暇があれば数字をいろいろいじってみてはいかがでしょうか。

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マルチプレックスパターンの表記と生成(2)

 前回は、マルチプレックスを含む数列の読み方を説明しました。今回は、マルチプレックスを含む数列がジャグリング可能かどうかの判定法を説明し、またマルチプレックスを含むパターンの基本的な生成方法を紹介します。

●ジャグリング可能か否かの判定

 通常の数列でも、ジャグリング可能なものと不可能なものがありました。たとえば534はジャグリング可能ですが、533や543はふつうはジャグリング不可能とされます。
 これらがジャグリング不可能とされる理由は、533のようなパターンなら「数字の合計÷周期(=ボールの個数)が整数になっていないから」、543は「複数のボールが同時に落ちてくるから」と説明されることが多いようです(実際ぼくもふつうはそのように説明します)。ただ、マルチプレックスのことを考えると、ジャグリング可能/不可能の判断基準はもう少し根本的なものを用いるほうがよいです。ジャグリング可能かどうかの判断基準とは、「投げるべきボールを手中に確保できること」です。
 具体的に説明します。まず534から。上段に534を、下段にそれぞれの数字で投げたボールが落下してくる位置を記します。たとえば最初の5で投げたボールは、次には2周期目の4で投げられ、その次には4周期目の5で投げられ…となります。

...534534534534...
...435435435435...

この表からわかる通り、このパターンではすべての拍でボールを1つずつ投げる必要があり、かつすべての拍にボールが1つずつ落ちてきています。したがって、この数列は特定の個数(4つ)のボールだけで投げつづけることができます。
 それでは、533はどうでしょうか。ここからは、1周期分だけ書くことにします。何も落ちてこないところには、便宜的に0を書きました。

533
03[53]

これを見ると、投げるべき5のところにボールが落ちてきていないことがわかります。したがって、この数列は投げつづけることが不可能です(ただし、たとえば同時に落下する5と3は一方だけをキャッチし、5は床に落ちているボールを拾って投げるなどすれば、533に「見える」パターンをおこなうことはできます。もっとも、このパターンも、ドロップを高いスローと考えれば、たとえば933や537などとみなすことができます。リズムが一定であれば、あらゆるボールの移動は、いわゆる「ジャグリング可能」な数列で表すことができます)。
 さて、それではマルチプレックスを含む数列に移りましょう。例として、前回同様[53]121をとりあげます。ボールの落下タイミングは、以下のようになります。

[53]121
[21]513

これは、ボールを投げるべきすべてのところにボールが落下しています。したがって、このパターンは投げつづけることができます。
 それでは、投げつづけることができないパターンがどのようなものかを見てみましょう。上記の数列を少し変形して、5[31]21という数列を作ってみましょう。このパターンでのボールの落下位置は、以下のようになります。

5[31]21
[321]510

このパターンでは、1のところにボールが落ちてきません。さらに[31]のところで投げられるボールが1つしかありません。これでは、[31]も投げることはできません。当たり前のことではありますが、マルチプレックスをおこなう拍には、その拍で投げる個数のボールを保持できていなければならないわけです。これを理解しておけば、マルチプレックスを含む数列がジャグリング可能かどうかを判断できます。

●原理的には可能でも実現困難なパターン

 ただし、上記の条件を満たして原理的にはジャグリング可能でも、実際には難度が非常に高くてほとんど実現不可能なパターンもあります。次の数列を考えてみてください。

[43]445
[54]443

このパターンはジャグリング可能です。しかし、[43]を実現するには、同時に落ちてくる5と4の両方を片手でキャッチしなければいけません。これは至難の技です。こういったパターンは、理論的には可能でも、実際におこなうことは不可能に近いです。
 このように、理論的には可能であっても実際には実現困難なパターンも存在します。実現可能なものとそうでないものとの違いは、どこにあるのでしょうか。それは、「直前に2を含んでいるかどうか」で決まります。
 たとえば[53]121なら、マルチプレックスの[53]をおこなう2つのボールのうち、1つは(後ろの)1によって手中に入りますが、もう1つは2によってボールを手に保持したままの状態になっています。ボールを手にもったままであれば、2つ目のボールをキャッチすることはたいして難しくはありません。このように、マルチプレックスをおこなう拍のボールのうち、1つを除いたすべてが2によって保持されていればよいのです。

●判定法の具体例

 それでは、具体的に数列が実現可能かどうかを確認するプロセスを追っていきましょう。今回は、[54]24を例としてあげます。
 1.数列を書きます。1周期だけでよいです。

[54]24
   

 2.それぞれのボールがどこに落下してくるかを確認します。先頭から順番にいきますと、5は2つ目の4のところに落ちてきます(右端まで行ったら左端に戻ります)。

[54]24
5

 3.マルチプレックスの4は2のところに落ちます。

[54]24
45

 4.同様に、残りの2と4は以下のようになります。

[54]24
[42}45

 5.まず、マルチプレックスの拍に2つ必要ですが、それがきちんと確保されていますし、それ以外の拍にも1つずつボールが落下しているので、このパターンはジャグリング可能であると分かります。また、下段に[42]とあることから、マルチプレックススローは、4と2により手中に入ったボールでおこなうことが分かります。つまり、2つのボールが同時に落下してくることもありません。
 このように、マルチプレックスを含むパターンも、通常の数列がジャグリング可能かどうかを判定するのとほぼ同様の仕方で対処できます。

●マルチプレックスを含むパターンの生成

 ここまでの知識で、マルチプレックスを含むパターンのもっとも基本的な生成方法が理解できます。その方法は、通常のサイトスワップ生成法となんら変わるところはありません。その方法を、具体的にパターンを作りつつ紹介しましょう。
 1.周期を決定し、周期分の枠を上下二段作っておきます。今回は、周期6のパターンを作ることにします。

000000
000000

 2.マルチプレックスをおこなう拍を決めます。今回は、1拍目と4拍目にそれぞれ2個のマルチプレックスを入れることにします。

[00]00[00]00
[00]00[00]00

 3.マルチプレックスの2つ前の拍に、あらかじめ2を入れておきます。落下位置も同時に埋めます。

[00]20[00]20
[20]00[20]00

 4.あとは、通常のパターンを作るときと同様、落下位置が重ならないよう注意しつつ、空いたところに数字を埋めていきます

[54]21[43]23
[32]43[21]45

これで、マルチプレックスを含むパターンができあがりました。一応確認しておくと、この[54]21[43]23というパターンは、
  数字の合計=5+4+2+1+4+3+2+3=24
  周期=6
  ボールの個数=数字の合計÷周期=24÷6=4
のパターンです。
 ここまでのことができれば、マルチプレックスのパターンを表記し、生成するうえで、困ることはないと思います。

 次回は、2つのパターンを合成することによってマルチプレックスのパターンを生成する方法を紹介することにします。

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マルチプレックスパターンの表記と生成(1)

●マルチプレックスとは

 ひとつの手から複数のボールを同時に投げることを、マルチプレックス(スロー)と呼びます。ふつう、同じ個数を投げるとしても、マルチプレックスを用いるパターンのほうが、用いないパターンに比べてずっと難度が低くなります。たとえば、6ボールマルチカスケードを考えてみてください。これは、6個のボールを2個ずつの3組に分け、その3組がそれぞれ1つのボールであるかのように、3ボールカスケードの要領で投げるパターンです。このパターンはマルチプレックスの基本的な投げ方・取り方さえ習得していればすぐにできるようになるもので、6ボールファウンテンやハーフシャワーと比べるとはるかに容易です。
 マルチプレックスを含むパターンは、この容易さのために、あまり高くは評価されてきませんでした。しかし最近では、ウェスをはじめとする流行の先端をいくジャグラーたちがマルチプレックスを多用する複雑なパターンを頻繁に用いており、マルチプレックスへの関心が以前よりもずっと高くなってきているようです。
 さて、こうしたマルチプレックスのパターンも数字で表記・生成することができます。一般的なサイトスワップパターンは(5ボールくらいまでは)理論的に可能なものはほぼすべて実現されてしまっている一方で、マルチプレックスパターンには実現可能でも手をつけられていないものがたくさん残っています。珍しいパターンを作りたいのであれば、マルチプレックスの数字表記はぜひ理解するべきです。今回は表記方法を説明し、それから後日、マルチプレックスを含むパターンの生成方法を紹介したいと思います。

 なお、はじめは分からないところがあっても飛ばして、とりあえず「●数列の解読」のところで具体的な考え方を確認すると、その他のところも分かりやすくなるかと思います。

●[ ]の意味

 マルチプレックスの表記といっても、とくに大きく変わることはありません。新しい記号を一種類導入するだけです。その記号とは、[ ] というカッコです。
 このカッコの意味は、「中に書いてある数字のスローを一方の手から同時におこなう」というものです。
 たとえば[54]とあれば、片手に2つもったボールをそれぞれ5と4の軌道に投げわけるということで、[543]とあれば、片手に3つもったボールをそれぞれ5、4、3の軌道に投げわけるということです。
 [52]とあれば、2つもったボールのうち1つだけを投げることになります。[22]なら、ボールを2つとも手中に保持したままになります。
 また、シンクロのパターンなら、[4x4]のようにxを用いることもあります。この場合も同様に、1つを4x、もう1つを4の軌道で投げます。

●周期とボールの個数

 それでは、具体的なパターンをとりあげてみましょう。[53]121というパターンを見てみます。まず、ボールの個数を考えてみましょう。一般に、
  数字の合計÷周期=ボールの個数
という等式が成り立つのでしたが、マルチプレックスを含んでもこの等式は成立します。このパターンでは、
  数字の合計=5+3+1+2+1=12
となります。
 それでは、周期はいくつでしょうか?答えは、4です。[ ]内の数字はすべて同時に投げるのですから、中にいくつの数字があっても、1拍分の長さしかありません。このパターンには5つの数字が含まれていますが、[53]は1拍と数えるので、周期は4になります。
 そこで、このパターンは、
  ボールの個数=12÷4=3
となります。

●数列の解読

 それでは、数字を順に追って、[53]121がどのようなパターンなのかイメージ・実践してみましょう。初期状態として、右手に2つ、左手に1つボールをもっているとします。
 [53]121 まず、右手から[53]を投げます。つまり、1つは5、もう1つは3の軌道に投げわけます。
 [53]121 ついで、空になった右手に、左手のボールを素速く投げわたします。
 [53]121 左手からわたされたボールは、右手で保持したまま投げません。
 [53]121 最初に投げた2つのうち低いほう(3)が左手に落ちてくるので、それを右手に素速く投げわたします。すると、右手はボールを2つもっていることになり、1.のステップに戻ることができます。
 ボールの動きがイメージできたでしょうか。これは、3ボールのマルチシャワーです。

 以上の知識で、マルチプレックスを含む表記を読み解くことと、マルチプレックスのパターンを見て数列で表すことができるはずです。通常のパターンに比べて複雑になりがちなので、はじめは1つのパターンを理解するのにも多くの時間をかけなければならないかもしれません。しかし、慣れてくるにつれて、考えるスピードがしだいに速くなってくるはずです。
 次回は、マルチプレックスを含む数列がジャグリング可能なものかどうか判定することを通じて、一歩進んだ理解を目指します。

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シンクロ⇒アシンクロトランジションの生成

 既存のアシンクロのサイトスワップをもとにシンクロへのトランジションをつくれたように、シンクロのパターンをもとにしてアシンクロへのトランジションをつくることができます。

 シンクロ⇒アシンクロのトランジションはぼくも滅多につくることがないので、ここで紹介する方法にもあまり自信はありません。問題や修正すべき点がありましたらお知らせください。

 こちらも同様に、まず生成の仕方を書いて、あとで説明していくことにします。

1.ボールの数以上の周期の、基本パターン(n,n)または(n+1,n-1)から直接に移行可能なパターンを用意する。
2.周期の外に落ちてくる数字について、xをすべて取り除く。
3.周期の外側に落ちてくる数字について、同時に落ちて来ることになる数字のいずれかを+1する。
4.左右の枠いずれかについて、周期の外側に落ちてくる数字すべてに、奇数ならs、偶数ならxをつける。
5.周期の外側に2番目に落ちてくるものについては、s/xがついていれば除き、ついていなければ加え、-1してもよい。
6.最後の(,)内のいずれかの枠に0があり、かつ、その0がある枠がs/xを加えた方の手である場合は、最後に落ちる数字を-nしてもよい。

(8x,8x)(4x,4x)(6,0)を例として説明していきます。

●1.ボールの数以上の周期の、基本パターン(n,n)または(n+1,n-1)から直接に移行可能なパターンを用意する。

 シンクロでは(,)と(,)の間に一拍あるので、たとえば(,)(,)(,)(,)なら周期8となることをまず確認しておきます。アシンクロの基本パターンはnですが、シンクロの場合、ボールが奇数個だと(n,n)とはできないので、(n+1,n-1)を基本パターンとしておきます。これらから直接移行可能なものは、たとえば(4x,4x)(4,4)、(6,4x)(4x,6)、(8,8)(4,4)などで、ここで紹介する方法ではこれらをもとにすることはできますが、直接移行可能ではない(8,4)(4,8)などはもとにすることはできません。周期はボールの数n以上でないといけないので、たとえば5ボールで周期4の(6,4x)(4x,6)をもとにしたい場合は、(6,4x)(4x,6)(6,4x)(4x,6)のように2セットぶん繰り返してください。

 (8x,8x)(4x,4x)(6,0)は5ボールで周期6で、(6,4)から直接移行可能ですので、条件を満たしています。

●2.周期の外に落ちてくる数字について、xをすべて取り除く。

 後半については問題ないと思います。「周期の外に落ちてくる」についてですが、たとえば(6x,4x)(6x,4x)(4,6)の6つの数字のうち、4xはこの6つの数字の中の4のところに落ちてきますが、その他のボールはこの6つの数字よりあとに落ちてきます。周期の外に落ちてくるというのは、このように、書かれた数字の上には落ちないボールのことで、n個あるはずです。したがってこの操作で、(6x,4x)(6x,4x)(6,4)は(6,4x)(6,4)(6,4)となります。

 (8x,8x)(4x,4x)(6,0)は、(8,8)(4,4)(6,0)となります。

●3.周期の外側に落ちてくる数字について、同時に落ちて来ることになる数字のいずれかを+1する。

 シンクロのパターンは2つのボールが同時に落ちてきますので、アシンクロに移行するにはこれをずらす必要があります。そこで、2つのボールのうちのいずれかを+1することで、アシンクロのリズムに変えるのです。

 (8,8)(4,4)(6,0)から以下の4つがつくれます。

  (8,9)(4,5)(6,0)
  (8,9)(5,4)(6,0)
  (9,8)(4,5)(6,0)
  (9,8)(5,4)(6,0)


●4.左右の枠いずれかについて、周期の外側に落ちてくる数字すべてに、奇数ならs、偶数ならxをつける。

 3.の操作を加えた段階で、2拍子以上連続で同じ手で投げなければならなくなっているはずなので、これを左右交互のリズムに変えるためにsやxをつけなければなりません。左右の枠いずれかすべてなので、結局同じ手で投げるものすべてということです。この操作でトランジションは完成です。

 上記の4つの可能性から、以下の8つのパターンができます。

  (8,9s)(4,5s)(6,0)
  (8x,9)(4x,5)(6x,0)
  (8,9s)(5,4x)(6,0)
  (8x,9)(5s,4)(6x,0)
  (9,8x)(4,5s)(6,0)
  (9s,8)(4x,5)(6x,0)
  (9,8x)(5,4x)(6,0)
  (9s,8)(5s,4)(6x,0)


●5.周期の外側に2番目に落ちてくるものについては、s/xがついていれば除き、ついていなければ加え、-1してもよい。

 これ以降は補助的な操作になります。これはアシンクロ⇒シンクロでの操作4.に似ています。たとえば(6x,4)(4,6x)から(6x,4)(4,7)(6x,4)(5s,6)というトランジションをつくった場合、この周期の外側に2番目に落ちてくる7を6xに変えることができ、すると(6x,4)(4,6x)(6x,4)(5s,6)となりますが、これは(6x,4)(4,6x)からアシンクロに移行する場合、実質的には(5s,6)だけをはさめばよいということになります。

 例において周期の外側2番目に落ちてくるのは5/5sですので、それぞれ以下のように変形できます。

  (8,9s)(4,4)(6,0)
  (8x,9)(4x,4x)(6x,0)
  (8,9s)(4x,4x)(6,0)
  (8x,9)(4,4)(6x,0)
  (9,8x)(4,4)(6,0)
  (9s,8)(4x,4x)(6x,0)
  (9,8x)(4x,4x)(6,0)
  (9s,8)(4,4)(6x,0)


6.最後の(,)内のいずれかの枠に0があり、かつ、その0がある枠がs/xを加えた方の手である場合は、最後に落ちる数字を-nしてもよい。

 これも補助的なものですが、トランジションの見かけは5.の場合とは違って、大きく変化します。0は一拍後にも同じ手でボールを投げられるという性質を利用しています。

 例においては、0と同じ手で投げる数字にs/xをつけたのは1、3、5、7行目のもので、これらはそれぞれ以下のように変形できます。

  (8,9s)(4,5s)(1,0)
  (8,9s)(5,4x)(1,0)
  (9,8x)(4,5s)(1,0)
  (9,8x)(5,4x)(1,0)

アシンクロ⇒シンクロトランジションの生成

 アシンクロ・シンクロ混合パターンの表記と生成に書いた手段でどのようなトランジションもつくれますが、何の拠り所もない状態から手探りで見栄えのよいものをつくることは難しいです。そこでここでは、アシンクロパターンからシンクロパターンへ移行するためのサイトスワップを、アシンクロのパターンに少し手を加えるだけで生成できる方法を紹介します。

 なお、例によって、これは数学とはもうほとんど縁のない文系ジャグラーが考えた方法ですから、2つの限界があります。
・生成元として選ぶことのできるパターンの周期は、ボールの数と同じかそれ以下に限られる。(ただしこの問題は容易に解決出来ます。ここで紹介する方法さえ身につければ少しの応用でできるようになるはずなので、最後に少し触れるだけで説明はしません)
・カスケードまたはファウンテン(ないしそれらから直接に移行できるパターン)からアシンクロの基本パターン(n,n)または(n+1,n-1)(ないしそれらから直接に移行できるパターン)へのトランジションしかつくれない。(これ以外の場合はトランジション前後のパターンの型を把握しておく必要があるので、問題がややこしくなってぼくには解決できません。図を描いてつくる方が手っ取り早いと思います。)

 誤りやもっとよい方法などありましたらご教授ください。

 実際のトランジションの例については、技:トランジションのアシンクロ⇒シンクロを参照。

●生成の方法

 方法だけ先に書いて、あとで説明していくことにします。

1.ボールの数(n)と同周期の、基本パターンnから直接に移行可能なパターンを用意する。
2.そのパターンの先頭の数字を投げる方の手に落ちてくる数字を、すべて+1する。
3.同時に落ちて来ることになる数字のいずれかに、奇数ならs、偶数ならxをつける。いずれのボールとも同時には落ちない数字については、つけてもつけなくてもよい。
4.sまたはxをつけた数字のうち、最初に落ちてくるものについては、そのsまたはxを除いて-1してもよい。

なお、奇数の数字につくsというのは、「投げたのと同じ手に落ちてくる」という意味の記号です。このブログ内でしか通用しないのでご注意ください。

 それでは、例として75661を元にして、実際にトランジションをつくりつつ説明していきます。

●1.ボールの数(n)と同周期の、基本パターンnから直接に移行可能なパターンを用意する。

 前半については問題ないでしょう。4ボールなら周期4、5ボールなら周期5のパターンを用意します。このとき基本パターンn(カスケードないしファウンテン)はそれぞれ4および5です。直接に移行可能というのは、nnn...のあとに直接そのサイトスワップを接続するだけで問題なくそのサイトスワップに移行できるということで、たとえば744は55555744744744...と移行できますが、861は55555861861...とはできず、たとえば5555566861861861...のように投げねば移行できません。この見分け方は簡単で、見分けたいサイトスワップと(n-1)(n-2)(n-3)...という数列を先頭をそろえて並べてみて、対応する桁の数字が、サイトスワップのもののほうがすべて大きければ、そのサイトスワップは直接に移行可能です。たとえば744は、432と比べて、いずれの桁も大きいですが、861では1が2以下になっています。連続では同じになるパターンでも、たとえば97531は直接移行可能ですが、75319はそうではありません。
 2n以上の高さのスローを含む場合は周期nのパターンはつくれないということも、一応付け加えておきましょう。
 なお、周期n-1以下でも、不足分の周期をnを前において補えば問題ありません。744は55744とすればよいですし、5は55555とすればよいです。

 例としてとりあげる75661はこの条件を満たしています。

●2.そのパターンの先頭の数字を投げる方の手に落ちてくる数字を、すべて+1する。

 たとえば97531なら、先頭の数字は9で、これを右手から投げるとすると、結局右手から投げるのは9と5と1の3つ、これらに落ちてくるのは1と5と9です。したがって97531→a7632と変換します。あるいは、7531なら、先頭の数字を右手で投げるとすると、右手から投げるのは7と3、これらに落ちてくるのは1と5ですから、7531→7632と変換します。
 実際には、ボールの数(=周期)が奇数なら「奇数偶数奇数偶数...」、偶数なら「偶数奇数偶数奇数...」というフィルターをかけて、一致しているものを+1するというやり方のほうが手っ取り早いです。

 75661は5ボールですので、「偶奇偶奇」のフィルターを通します。赤字の3箇所が一致していますので、75661→85672と変換します。

●3.同時に落ちて来ることになる数字のいずれかに、奇数ならs、偶数ならxをつける。いずれのボールとも同時には落ちない数字については、つけてもつけなくてもよい。

 2.でつくられたパターンは、複数のボールが片手に同時に落ちてくる、ジャグリング不可能なパターンになっています。この同時に落ちてくるボールを両手に散らすことで、シンクロパターンへの移行ができるのです。また、ボール数が奇数の場合は、他のボールとは同時に落ちてこないボールもあるはずです。このボールについては左右どちらの手に落ちてもいいので、sまたはxをつけてもよいですし、つけなくてもよいのです。

 85672では、それぞれ同じ色で塗ったボールが同時に落ちてきます(一応一言加えておきますが、6は8の2つあとにあって8-2であり、2は5の3つあとにあって5-3です)。また、7はいずれのボールとも同時には落ちてきません。そこで、この場合は、4つの数字のいずれにs/xをつけるか、および7にsをつけるかどうかによって、以下の8つのトランジションが生成できます。

  8 5 6x7 2x
  8 5s6x7 2
  8x5 6 7 2x
  8x5s6 7 2
  8 5 6x7s2x
  8 5s6x7s2
  8x5 6 7s2x
  8x5s6 7s2


●4.sまたはxをつけた数字のうち、最初に落ちてくるものについては、そのsまたはxを除いて-1してもよい。

 3.まででもうトランジションをつくることはできていますが、この4.は使えると便利なので紹介しておきます。いま、55744を元にして6x58x5s4というトランジションをつくったとします。このトランジションで最初に落ちてくるのは6xと5で、このうちs/xがついているのは6xの方です。したがって、このxを除いて6とし、さらに-1して5とすることができます。すると、新しいトランジションは558x5s4で、これは実質的に8x5s4だけでトランジションを行なえるということです(細かいことを言っておくと、実際には4の次に1sが含まれますが、これはただ持っているだけなので投げるときにはほとんど勘定にいれる必要はありません)。このように、この操作を加えると、nより1ないし2短い周期のトランジションがつくれる場合があるのです。

 75661を元にしたトランジションにこの操作を加えると、さらに以下の8つのトランジションができます。結局、16種類のトランジションができたわけです。

  8 5 6x7 1
  8 4 6x7 2
  8x5 6 7 1
  8x4 6 7 2
  8 5 6x7s1
  8 4 6x7s2
  8x5 6 7s1
  8x4 6 7s2


●補足

 周期がnより大きいパターンから生成したい場合について、ヒントを。たとえばb444444ならc445454のようにすればよいです。44の部分は一周期終わる前にキャッチしてしまっているのです。

アシンクロ・シンクロ混合パターンの表記と生成

 サイトスワップはさまざまなパターンを表記できる便利なものですが、残念ながらシンクロとアシンクロの入り混じったパターンは表記できません(ぼくがそういう正書法を知らないだけかもしれませんが。ご存知の方いらっしゃいましたらご教授お願いします)。そこでここでは、サイトスワップの表記を少し変えることで、シンクロとアシンクロのトランジションを一応表記しまた生成できる手段を紹介します。
 なお、これはぼくが自分で使うために考えたかなり大雑把な方法でして、もっと精緻なあるいは効率のよい手段はさまざまにあると思われますし、この方法自体も大いに改善の余地があります。ただ、通常のサイトスワップ表記に比べれば直感的につくりやすいので、一応紹介するだけのメリットはあると思っています。

 図iを見てください。これはサイトスワップの3、つまり3カスケードを表記したものです。直感的に理解していただけると思いますが、左側の列に左手から、右側の列に右手から投げるサイトスワップを並べて、上から下へと読んでいきます(もちろん左右反対でもかまいませんが)。クラブパッシングのための似たような表記の仕方を7~8年前にどこかのサイトで読んだのですが(というか有名なやり方ですよね?)、ぼくはパッシングはできないし探して読み返すのも面倒なので我流でいかせてもらいます。
ss00



 この方法で423を表記すると図iiのようになります。ボールの移動を線で表しているのをわかりやすいと言っているのかと思われる方がいらっしゃるかもしれませんが、これは423がシンプルなパターンだからこうなっただけで、ボールの数や周期が増えると線を引くとかえってわけが分からなくなってしまいます。この線は説明のために引いているだけで、実際に使うさいには線を引かないやり方(そのうち出てきます)の方がシンプルでよいです。
ss01


 それでは、シンクロのパターンを見てみましょう。(4,2x)(2x,4)、つまり3ボックスを表記すると図iiiのようになります。ここで重要なのは、数字同士のあいだを1行ずつ開けることです。これは、アシンクロパターンとリズムをそろえるためです。3や423の表記にもどってもらえば分かりますが、アシンクロパターンで同じ手がボールを投げているのは、2マスごとです。シンクロとアシンクロを同じやり方で表記したいので、シンクロでは一行ずつ空ける必要があるのです。ただし、縦に並べて書くことのできる例外もあります。それがシンクロ・アシンクロ間のトランジションの要になるのですが、それはまた後で。
ss02


 図ivは、○で数字が入るべきマスを表したものです。この二つの形が表記の基本形です。
ss03



 さて、そろそろ本題に入りたいのですが、その前に一応、図vとviを用いて、パターン生成の基本的なやり方を説明しておきましょう。通常の表記のサイトスワップと同じやり方なので、わかっている方はとばしてください。ここではアシンクロパターンについてのみ述べます。
 v①とりあえず、周期を決めましょう。説明用なので、短めの4にします。アシンクロパターンなので、○を入れた4箇所を埋めることになります。なお、1周期のみを代表させて表記する場合は、この図のように、上下を閉じることにします。
 v②まず1つ目のマスに数字を入れましょう。何でもいいので、ここでは適当に5を入れます。ここで投げた5が落ちてくるのは、5マスあとの反対側なので、赤字で5と入れたところです。一番したまで行ったら上にもどってくるのですね。
 v③残り3マスですが、ボールが落ちてもよい場所として残っているのは赤でをつけた3箇所です。
 v④そこで、2つ目のマスに2を入れましょう。これが落ちてくるのは最下段の左で、まだ空いていましたね。
ss04


 vi①残りは2マスで、落ちてよいのは右の1段目と3段目。
 vi②3段目には2を入れてみます。すると残り1マスで、落ちてよいのは右の3段目だけ。
 vi③最後のマスに入れられるのは、3あるいは3に4の自然数倍を加えたものだけですね。ここでは、一番小さい3を入れることにします。
 vi④すると、5223というサイトスワップができました。平均をとると、(5+2+2+3)/4=3なので、3ボールのパターンですね。ボールの軌道を表した線が、どの水平線上にも常に3本づつあることにも注目。
ss05


 さて、ここからが本番です。アシンクロパターンとシンクロパターンのトランジションを作ってみましょう。まずはシンクロ⇒アシンクロから。シンプルな例で説明したいので、3カスケードから3ボックスへの移行を作ることにします。
 vii①スタートのカスケードからでもゴールのボックスからのどちらからでもできるのですが、まずはゴールを先に作っておく方法をやってみましょう。上部を適当に空けておいて、ボックスのサイトスワップを書きます。
 vii②とりあえず、いま埋めた数字のボールがどこに落ちるかチェックしてみましょう。すると、赤でをつけた3箇所にボールを落とさねばならないことが分かります。
ss06


 viii①さて、空欄にしておいたマスに、アシンクロパターンの基本配置を入れてみました。この○の部分に数字を入れていけばよいのです。まずは、赤の位置にボールを落とすことを考えましょう。
 viii②一番安直な仕方で○と赤のマスをつないでみました。この結び型はまったく任意で、順番はどうでもいいですし、もっと上の○から結んでもよいです。
ss07


 ix①いま結んだ○に、その距離に対応する数字を入れました。3と4は至極当然だと思われるでしょうが、1sについては、直感的に分かるとは思いますが、説明しておきましょう。1はもちろんボールの滞空時間です。新しく導入した記号sは奇数にのみつき、投げたのと同じ手にかえってくるという意味です(straightのsをとりました。xがボールが交差した軌道を示しているのなら(ですよね?)、l(エル)やoなどのほうがよいかとも思いましたが、それぞれ1および0と紛らわしいので。これについてもし一般的な表記法をご存知の方いらっしゃいましたらご一報ください)。さて、1は「反対の手にすばやく投げわたす」のが基本ですが、ここで投げたボールが同じ手にもどってくる1sは、結局何も投げないのと同じです。このようなイレギュラーな投げ方(投げてないですが)をはさむことで、シンクロ⇔アシンクロの移行が可能になるのです。先ほど縦に並べて書くことのできる例外があるといいましたが、それはこの1sのことで、1sの真下には数字を書くことができるのですが、それは1sが「投げない」投げ方だからなのです。(なお、この表記では0が現れませんが、空欄にはすべて0が入っているものとみなすことができます。また、1sが縦に2つ並んだものは結局2と同じです。)
 ix②ここまでで肝心のトランジションの箇所はできたので、後は残された○を埋めていくだけです。4と1sにもボールを落とさなければいけないのですが、残りの○に単純に3を入れるだけでこの条件はクリアです。これで見事に3カスケードからボックスへのトランジションができました。
ss08



 x①もちろん、1sを用いない方法もあります。1sを使わなくてよいよう、ボックスの直前の1段を空けておきましょう。
 x②たとえばこのようにすれば、1sではなく3sで移行ができます。
ss09


 xiまた、sを使わずにxで移行することもできます。
ss10



 xii①今度は逆に、ボックスからカスケードへの移行を作ってみましょう。先ほどはゴールから埋めていったので、今度はスタートから、ボックスのサイトスワップをまず書くことにします。それぞれのボールがどこに落ちるかをチェックしてみると、5段目の両方と7段目の右にはなんらかの数字を入れなければならないことが分かります。この7段目右を軸に、アシンクロの基本位置に○を入れていきます。
 xii②このように投げれば、うまく移行できそうですね。実質的には、6段目左および8段目左にボールを落とすことにさえ留意すればよいです。もちろん、このほかにもいくつもヴァリエーションは考えられますので、いろいろ試してみてください。
ss11



 ここからは、シンクロとアシンクロが混合したパターンを作ってみます。こういったパターンを生成してくれるシミュレータはまだないですし(ないですよね?)、やっている人もいないようなので、開拓の余地は大いにあると思います。ただ、ぼくは最近はもうサイトスワップ自体にあまり興味がないので自分でやろうとは思わないのですが…
 xiii①ともかく、ためしに一つ作ってみましょう。長すぎるのは覚えるのが面倒なので、周期は(混合パターンとしては)短めの6に。先に型を決めた方が楽なので、適当に○を入れてみました。数字を入れながら型を作ることももちろんできますが、整合性をもたせるのが難しくなります。
 xiii②1段目左に、一つ目なので少し高めに、7を入れてみます。これが落ちてくるのは2段目右ですね(そろそろ線を引くのはやめます)。落ちてくるマスの横にもきちんと数字を書いておくのが確実です。
 xiii③1段目で高く投げたので、2段目右には怖気づいて4。これが落ちるのは4段下の6段目。
 xiii④4段目はちょっと頑張って両方とも6xを。もちろん違う数字を入れることもできます。
siteswap12.jpg


 xiv①最後は1,7,d,...などの可能性がありますが、ここも安全に1にしておきます。以上で、混合のパターンができました。4ボールのパターンです。――練習中(約10分)――4ボールと甘く見ていましたが、7と4が同時に近いリズムになりがちで、形になるのに案外時間がかかりました。あまり美しいパターンではないです。暇な方は一応やってみてください。
 xiv②ついでに、4ファウンテンからの移行の仕方も書いておきます。図を見ていただければ言わんとするところは分かると思いますが、4を一箇所だけ5sにかえればよいです。もちろん他にもさまざまなやり方があります。
ss13


実践してみました↓



 演習問題1:図xvのパターンを実践またはイメージしなさい。
ss14


 解答



 演習問題2:図xviのパターンを実践またはイメージしなさい。ただし、同じマスに複数の数字が入っているものはマルチプレックスである。
ss15


 解答


 マルチプレックスを含むものについてはいずれまた書くかもしれません。
プロフィール

mascaret

Author:mascaret
福岡出身・東京&千葉&フランス経由、千葉在住のジャグラーです。

*経歴
JJF2014にて
 エンデュランス
  5ボールカスケード1位
  6ボールファウンテン1位
  7ボールカスケード1位
JJF2012にて
 チャンピオンシップ決勝進出(2年連続)
 エンデュランス
  5ボールカスケード1位
  6ボールファウンテン1位
  7ボールカスケード1位

*使用道具
ボール:RF Beanbag M (Rad Factor), Elite 8 M (Gballz) etc.
クラブ:PX3 SIRIUS TRAINING (Play)
リング:Absolute Circus Ring (Absolute Circus), Wind Stream Ring (Mr. Babache), SATURN (Play)

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